2018年1月21日日曜日

いい人はお金に恵まれない。いい人ほど貧しくなる

「お金の話」を嫌がる人にお金は回ってこない――「いい人」ほどお金に嫌われる



「万人に好かれるように行動する“いい人”の人生は、窮屈で不自由で、つまらない!」と説く書籍、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』が好評です。著者は、会社員時代から不動産投資で資産を築き、会社経営者を経て、現在はコンサルタントやビジネス書作家として活躍する午堂登紀雄氏。

「いい人」でいようとすることがどれだけ無意味かが軽妙かつ痛快に語られる本書では、「お金」についても1章が割かれています。曰く、「いい人はお金に恵まれない。いい人ほど貧しくなる」。

午堂氏に、自由な人生を生きるためのお金との向き合い方について、話を聞きました。

お金が寄ってこないのは「お金の話」をしないから
──著書の第3章「お金」の冒頭に、「“いい人”をやめられない人はお金に恵まれない」とあります。なぜでしょう?

「いい人」は、お金に対してネガティブなイメージを持っています。お金の話をすると、「いやらしい感じがする」「お金にうるさい人と思われてしまう」と考えているんです。つまり、お金の話をすると嫌われるという思い込みがある。他人に嫌われることは、いい人にとってもっとも避けたいことですから、お金の話を避けるんです。

──たしかに、お金の話はいやらしいと考えている人は多いような気がします。

本当に不思議ですね。私のいう「お金の話」とは、表面的な「儲け」の話ではありません。稼ぐことができた原因や根拠について、興味を持って考えることなんです。

会社の儲け話は、みんな日常的にしているはずです。「あの企業の業績が良いのは戦略がよかったから」とか、「競合他社はこんなビジネスモデルで儲けているらしい。ウチだったらこうすれば儲かるんじゃないか」などと、みんなで一生懸命議論しますよね。これも「お金の話」です。お金の話をすると、経営戦略やマーケティングなどの知識がレベルアップしていく。MBAもそうです。MBAは企業が儲けるための方法論なのに、「いやらしい」という人は少ない。

企業も個人も、お金を稼ぐことに興味があるはずなのに、個人がお金を儲けた、稼いだ、という話になるととたんに「いやらしい」って感じる人が多い。おかしいと思うんですよね。

個人のお金の話でも同じように、「なぜあの人は何億円も資産ができたのか」「なぜ株で儲けられるのか」という議論をして、その背景や判断の根拠を考えてみると、お金に関する知識が増えて、興味も出てくると思うんです。だから、もっとお金の話をしようと言っているわけです。

──話をしないから知識も深まらず、お金が寄ってこないと。

そうです。お金の話を避けるのは、じつはお金にとらわれているからです。まだ未練が残っている昔振られた恋人の話をしたくないのと同じです。お金に関心のないふりをしていても、本当は、心の中では「お金のあるなしが人の優劣を決める」というくらいにこだわっている。

まずはお金に対する「いやらしい」という先入観を捨てて、もっとオープンに話すことができれば、お金との適正な距離感が生まれて、客観的に考えられるようになります。

貯めることが目的になってはいけない
──いい人によく見られる「お金に嫌われる行動」はありますか?

典型的なのは、節約と貯金です。「いい人」は常識人ですから、「何かあったときのためにお金はきちんと貯金するもの」という親の教えに忠実です。貯めること自体が目的になっていて、「貯めたお金を有効活用して人生を豊かにする」ということに思考が向かわない人が多い。

節約と貯金が大好きで、「30歳で1000万円貯めました」といったって、それでどうするんですかと聞くと、「いやもしもの時のために」と。もちろん、もしもの時の保険という機能はあります。でも、「もしも」とはどんな時のことか、その時にいくら必要か、まったく計算していない人がほとんどです。1000万円じゃ到底足りないかもしれないし、多すぎるかもしれないのに。

お金は、幸せのなるための道具にすぎません。ただ貯めるだけではなくて、今よりもハッピーな人生を送るために自己投資するとか、上手に使ったほうが、より満足度の高い生き方になると思っています。

──いい人は貯金はするけど投資はしない、と。

いい人は、「失敗してはいけない」という固定観念が強いんです。つまり挑戦をしない。お金に関してもそうで、1円でも損するのがいやなんですね。1回でも負けたくない。これもまたおかしな話です。

たとえば、スポーツをする人は、うまくなるために練習します。シュートを外しても外しても、練習すればそれだけうまくなるじゃないですか。仕事もそうです。若い頃に多くの失敗を経験しながら、成果を出せるようになっていく。上達のためには練習が必要です。

でも、なぜか投資に関しては、練習もしないのに全戦全勝したい。ものすごく虫のいい話ですよね。それで、1回でも負けるとあきらめてしまう。

にもかかわらず、買ったとたんに価値が1割下がる新築マンションを3000万円で買って、300万円損しているのにまったく意に介さない。こういう人に限って、儲け話にウラも取らずに一口のって、失敗したりします。失敗しても、それを教訓にして次に活かせばいいんですが、そうせずに誰かのせいにする。

いい人には「自己責任」という概念が欠けているんですね。誰かが何とかしてくれるという発想がある。でも、結局は誰も何もしてくれないから、国に文句を言ったり、会社のせいにしたりする。依存体質の傾向が強いように感じます。

また、いい人は、他人の言うことをむやみに信用し過ぎることがあります。銀行に対して全幅の信頼を持ち、窓口で手数料が高い投資信託を買ったり、企業の広告宣伝を鵜呑みにして効果が怪しい健康食品を買ったりする。人の話や常識を、「本当か?」「なぜそうなのか」と疑い、本質を問うような思考をしないのです。

「貯めよう」から「稼ごう」へシフトしよう
──では逆に、「お金が寄ってくる人」はどんな特徴を持っていますか?

お金が寄ってくる人は、「貯めよう」とせずに「稼ごう」とします。お金は、稼げば稼ぐほど使いきれなくなって自動的に貯まるものです。そのためには「先行投資」という考え方を持つことです。

「稼ぐ」という行為は、誰かの「困っている」や「こうしたい」を探し、自分の持っている能力を人や社会へ提供し、相手に貢献することで感謝という対価をいただくことです。自分だけではなく相手もハッピーになる、発展的な行動なんです。一方で、「貯める」は自分だけの満足で終わってしまう行為。内にこもる行為であって、誰の役にも立ちません。

「稼ごう」へ発想をシフトして、稼ぐ力をつけるために、スクールやセミナー行くとか本で勉強するなど、自分に「先行投資」をする。「まず貯めよう」という発想では、「先行投資する」という考えすら浮かばないでしょう。

先行投資のためには「お金を借りる」という方法もあります。たとえばMBAを取るために留学したいとします。その費用が貯まるまで3年も5年も待っていては、得られるはずのチャンスを逃してしまう。借金してでもすぐ留学すれば、取得後に就いた仕事で、年収や経験というリターンを回収できると考えることもできます。

「先行投資」でチャンスを買って、それを活かしてお金を「稼いで」、幸せという「リターン」を手に入れる。この一連の流れを体験すれば、人生の選択肢が広がります。

──では金融商品などに投資する場合はどのように考えたらいいでしょう?

投資で大切なのは根拠・判断軸・再現性です。その商品になぜ投資をするのか、どんなリターンを得るのか、という根拠や方向性をしっかりもって、成功しても失敗しても理由を考えて教訓とし、次につなげることを意識すると良いと思います。

その意味で、投資信託は個人的にはあまりおすすめしていません。他人が運用するものだし、「なんなく上がりそうだしいいかな」という曖昧なイメージで買ってしまいがちだからです。根拠がないから判断軸が養われない。判断軸がないから再現がない。つまりは、多少儲かったところで、次に活かせないんです。



──「ビットコイン」などの仮想通貨はどうですか?

現在のところ、価値が上がっていくイメージはありますが、なぜ上がったか下がったかを深い洞察とともに説明できる人はほとんどいません。たしかに跳ね上がって億万長者になった人もいるにはいます。いち早くその機会に気が付き、他人より早く参入したというセンスや勇気があったと言えなくはありません。しかし、上がった根拠を説明できなければ、再現性はもたらせない。だから次に同じように稼げるかというと、それは難しいのではないでしょうか。

論理的に考えて、自分なりの判断軸をつくる
根拠と判断軸という点でおすすめするのは、株式投資と不動産投資ですね。

株式投資は、企業の未来に投資します。その企業の戦略や財務状況をもとに潜在的な成長力を調べて、現在と比べてどうか、株価が上がるかどうかを判断してその未来を買う。それはつまり、その企業の本質的な価値を推し量るということ。しかしそのためには、事業環境など様々な材料を検討し、論理的に考えて、「自分なりの判断軸」を持つ必要があります。

株式投資を通じて論理的思考や判断軸をつくることに慣れてくると、ビジネスやプライベートでの投資判断や、先々の予想を立てたりするときにも役に立つはずです。

不動産投資は、結婚相手を選ぶのに近いというとわかりやすいでしょうか。その物件は世界に1つしかないし、収益性や資産価値からみて、20年30年と付き合っていけるかを判断する行為ですから、見た目や雰囲気など、一時の情動で選んでしまうと失敗してしまいかねない。

だからこそ、不動産投資も論理的に考える訓練になります。毎月の家賃収入とローンの返済額から差額を計算して、さまざまな材料をもとに収益性を評価する。現在だけでなく、10年後の家賃がいくらになるかも考えて、収支を割り出す必要がある。おそらくお金を借りることになるでしょうが、自己満足のための借金ではなく、将来の収入源を確保してハッピーになるための借金ですから、「先行投資」にあたります。

投資の大前提は「自己責任」です。そのためには勉強もして知識を蓄えて、論理的思考によって根拠と判断軸を明確に持つこと。そのうえで積極的に向き合ったら、自然とお金は寄ってくるのではないでしょうか。

_____

午堂登紀雄氏プロフィール

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。米国公認会計士。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社)など著書多数。

参照元 : ブックバン


お金に愛される人、逃げられる人

2017年8月14日号

世の中には、何をやってもお金に困らない人がいる。その一方で、どんなに恵まれた環境でも、お金の苦労が絶えない人もいる。さて自分はどっちなのか。チェックしてみよう。

論理的でマイペースだと、お金が集まってくる

「お金持ちになりやすい性格」の人とはどういう人だろうか。



37万人のアンケートデータをもとに、「人間の性格と行動」を分析してきたディグラム・ラボ代表でリサーチプロデューサーの木原誠太郎氏によると、「お金を稼げる人は、自分に厳しく、論理的。その一方で明るく、周囲の目を気にしないマイペースな性格」の持ち主だとか。なかでも、“論理的でマイペースな性格”の人はお金持ちになりやすいという。

「論理的な人は、数字に強く計算が得意ですから、お金が貯まりやすいですよね。一方、マイペースな人は、他人に流されることなく、自分の意思で行動することができます。これは自信にもつながりますから、投資家や起業家といった判断力、決断力が物を言う職業で成功しやすいんです」

では、その性格はどんなときに表れるのか。特徴的な行動を挙げたのが、下記7つの項目だ。チェックした数が多ければ多いほど、「お金持ちになりやすい性格」だといえる。意外だと思う項目もあるかもしれない。それぞれの理由を木原氏に解説してもらおう。

▼CHECK LIST
□「お金があれば幸せになる」とは思わない
□ ムカつくことがあっても仕返しは考えない
□ ランチのとき、すぐに注文を決められる
□ 窮地に立ったとき、うまくごまかすことができる
□ 焼き肉より寿司のほうが好き
□ バッティングセンターが好き
□ ビジネスホテルが好き

コハダから食べる人は、論理性が高い ▼「『お金があれば幸せになる』とは思わない」人は、人から好かれやすく、人との繋がりを大事にする傾向にある。人のために動くことは、仕事がうまくいき、結果的にお金に繋がる。

▼「ムカつくことがあっても仕返しは考えない」人は論理性が高く、感情で動くことが少ない。そして、人のことが気にならない傾向にある人だ。冷静に状況を判断して自分の感情をコントロールできるという点からも、お金に愛されやすい。

▼「ランチのとき、すぐに注文を決められる」人は、意思決定のスピードが速く、チャンスが舞い込んできたときに、すぐに行動できる人だ。実際、成功した経営者は、席に座って3秒以内にメニューを決める人が多い。

▼「窮地に立ったとき、うまくごまかすことができる」人は、目的を達成するためには、手段を選ばずにやり切るタイプだ。たとえ業績が厳しかったとしても「ウチは絶好調ですよ」と明るく言う経営者のほうが、しぶとく生き残るし、人もお金もついてくる。

▼「焼き肉より寿司のほうが好き」な人は、合理的で大人っぽい人だ。みんなでわいわい楽しむ焼き肉と比べ、作法が必要な寿司を好む人は精神年齢も高い。嗜好でいうと、コハダから食べる人は論理性が高く、マグロから食べる人は優しい人といったデータもある。また、焼き肉を好む人はノリがいい半面、子どもっぽいという統計も。さらに、ハラミ好きは自由を好む傾向にあり、赤身ロース好きは頑固。カルビ好きはノリがよく優しい人。牛タン好きは調整上手とデータに表れている。

▼「バッティングセンターが好き」な人はお金が貯まりやすい。野球経験の有無は関係なく、バッティングセンターに行く習慣のある人は、自分のストレスを発散する行動が取れる人、つまりストレスコントロールがうまくできる、非常に論理的な人だといえる。

▼「ビジネスホテルが好き」な人も、合理的でムダが嫌いな人であり、お金が貯まりやすい。

ディグラム・ラボ代表 木原 誠太郎
電通やミクシィでマーケティングを担当後、企業のマーケティングコンサルティングに携わる。2013年、ディグラム・ラボを設立。

(文=山下久猛)

参照元 : PRESIDENTオンライン


「お金に愛される人」の5つの習慣

2013.4.9

世の中には、ごく普通の一般人でありながら、お金を上手に貯めたり稼いだりしている人もいる。そんな「お金に愛される人」になるにはどうすればいいのだろうか。3人の識者に聞いた今からできる5つの思考法を紹介しよう。

「お金とは何か」と問われて即答できるか



大金持ちとまでいかなくても、日々の生活にそれなりの余裕があり、将来への備えもできるくらいにはお金が欲しいと考えている人は多いだろう。だが、長引く不況で平均年収は右肩下がり、株価も下がって投資に魅力もなくなり、副業に割くような時間もない……。結局は「これくらいあれば」と自分が思う希望額と毎月の給与明細を比較して、ため息をついてばかり。そんな人がお金に愛されるためには、どうすればいいのか。

お金に関する数多くの著書でお金持ちになるアドバイスをしている本田健氏は、「お金と人との関係は大きく分けて3種類ある」と分析する。

「1つは『奴隷』です。全体の9割くらいの人たちがこれに当たります。奴隷のようにお金に振り回されて生きている。2つめは『主人』です。お金をたくさん稼いだり持ったりすることによってお金を支配するような感覚を持つ。お金でいろいろなことを決めてしまうような人ですね。3つめは『友人』です。お金と親友になって仲良くつき合う。ほとんどの人たちはお金と『奴隷』の関係で、1カ月で使い果たすような報酬しか稼がない生き方をしています。収入が増えても、それに伴って出費も増えて、手元にあまり残りません。年収300万円の人も800万円の人も、『あと10%の収入があれば家計がラクになる』と言うんです」

しかし、実際に収入が10%上がったとしても、それで満足して幸せだと感じる人は少ないという。本田氏によれば、年収約400万円から約900万円までは、幸福感にあまり差はないのだそうだ。

ところが年収1000万円以上になると幸福度が下がる。仕事上の職責が上がるため、より仕事のストレスがかかるようになるのだ。医者、弁護士、会社経営者、エリートサラリーマンなどがそうだ。

「豊かさを感じられるのは年収が3000万円を超えたあたりからでしょう。1000万円稼いでストレスだらけになるくらいなら、1000万円以内でやりくりしながら好きなことをやって家族が幸せに暮らすというのが、1番ストレスがない生き方ではあるんです。それも、お金と『友人』になるという、上手な生き方ですよね」(本田氏)

年収が上がっても幸福感に変わりがないなら、お金とは何なのだろう。「習慣の専門家」である佐藤伝氏は、まずお金の定義を自分の中ではっきりさせるべきだという。

「あなたにとってお金とは何ですかと聞かれたときに、間髪いれずに答えられることは、非常に重要だと思います。その答えに、お金とどうつき合っているかが如実に表れるのです」(佐藤氏)

「お金とは?」の問いに即答できるということは、常日頃からお金について考えている証拠。お金持ちへの道のスタートはそこからだ。

幸せリッチは自分の「お金観」を客観的に分析している



自分と向き合い、自分がどれだけのお金を必要としていて、将来どうなりたいかを知ることは、お金に愛されるために重要だ。

「年収3000万円くらいの人から、資産が数千億円もあるような人まで、お金持ちにもいろいろいます。だから、自分が一生の間でどんな人になるのかということを、冷静に見極める必要がある。たとえば将来、年収1000万円以下で一生暮らしていくのであれば、それに応じた暮らしをしなくてはいけない。自分の年収を増やしていくという前提なら、自己投資などをしなくてはいけない。ある意味で『守りの人生』なのか『攻めの人生』なのかということを考えなくてはいけません」(本田氏)

自分は守りのタイプなのか、攻めのタイプなのか。お金とどうやってつき合うタイプなのか。本田氏によれば、実は多くの人の「お金観」は、両親や祖父母など生い立ちに影響を受けているという。

「お金を節約しなくちゃいけないとか、お金は人をダメにするぞとか、実は子供の頃から聞かされていたことや幼少時の体験が、その人のお金観になっていることが多い。そしてそれを、自分でも知らないうちに追体験してしまうのです。そのお金観をどこかでクリアにしないと、違う生き方ができないんですね」

本田氏の調査によると、お金持ちの80%が自力で資産を築いている。そして攻めの人生を歩んでお金持ちになる人は、大病や大きな挫折を経験したことがあり、自分のお金観や生き方に向き合っている人が多いという。

「松下幸之助さんが成功の秘訣を聞かれて、貧乏だったこと、学歴がなかったこと、体が弱かったことの3つだと言ったそうです。松下さんよりも条件が悪い人はほとんどいないんじゃないでしょうか。だから、基本的にはその人のあり方ですべてが変わると思います。ただ不利なのは、お金について何も考えずに育った人ですね。お金持ちになりやすいのはお金に縁のない家庭で育った子供。普通のサラリーマンの家庭で育った子供は、お金持ちにはなりにくいです」(本田氏)

年収を10倍にするという発想を持て

もちろん、一生サラリーマンでいれば、年収3000万円にはなかなか到達しない。つまり「攻めの人生」でないとお金持ちにはなりにくい。起業、投資、副業など、「攻め」の手段はいくつかあるが、お金に愛される人はどのように取り組んでいるのだろう。

「収入を2倍にしたいと思うと、今の仕事を頑張ろうと思うかもしれませんが、10倍にしようと思うと、収入を生み出す仕組みやキャッシュポイント(=収入の入り口)を、根本的に変革する必要があります。サラリーマンであれば副業ですが、ほとんどの人は漠然と『副業、あればいいよね』と思っているだけなんです。そうではなく、きちっと書き出すことが重要です」(佐藤氏)



起業や副業というと、今までの自分の仕事以外のことを想像して、「自分にはできない」と考えてしまいがちだが、いわゆる「脱サラ」してショップを始めるような思い切った方法ではなく、今の自分の延長線上で考えていけばいいと、佐藤氏はアドバイスする。

「新たなキャッシュポイントをつくるためには、休みの日でもやりたいと思えるような好きなことを始めて、それをビジネスにしていくこと。そしてブログでも、ホームページでも、フェイスブックでもいいので、発表するための『箱』をつくることが大事です。箱をつくると、自然と中身が入ってくるんです。私のセミナーの生徒には、犬の散歩をビジネスにした人がいました。そして散歩の様子を顧客にレポートすると同時にネットに公開したことで、PRになりビジネスを大きく伸ばしたのです」(佐藤氏)

好きなことで稼ぐことができれば一番いい。しかし、特筆すべき趣味がない人や、休日にはお金を使って終わってしまう人も多いだろう。そんな人はどうすればいいのか。

「知性を使って、お金がうまく回ってくる仕組みを考えればいいんです。好きなことといっても、人と関わること、誰かにとって何かプラスになることでないとダメです。たとえば映画が好きな人は、映画についておもしろい解説をして、メルマガで配信するなどの方法があります。人と関わること、何らかの社会との接点がないと、お金は生まれません。逆にいえば、社会との接点さえあれば、どんなところにもお金が生み出されるシステムがあるはずです」(本田氏)

また、現代のITの発達が個人が稼ぐことを可能にしたと、金融・経済関係の著書の多い作家の橘玲氏は指摘する。

「ITの登場によって、会社に所属しなくても分業ができるようになった。無料のブログサービスやグーグルのような無料のクラウドサービス、あるいはアマゾンのようなマーケットサイトなど、これまで会社に集まって分業していたようなことを、個人がアウトソースできるようになってきたんです。これまでは大きな仕事をするためには、会社に入らなければいけなかったのが、だんだんと、いわゆる自営業でも外部サービスを使えば収益を獲得できるという、新しい可能性が出てきています」(橘氏)

「豊かなビンボー」になる知恵を持て



それでも、なかなか副業に踏み出せない人や、本業の忙しさに追われてままならない人はどうすればいいのか。それは年齢によって違いがある、と橘氏は語る。

「30代前半までなら、転職が可能です。つまり、いろいろ選択肢があるので、とりあえず自分の選択肢を減らさないように頑張る。他の会社・業種でも通用するようなスキルを獲得するとか、転職してもやっていけるような何か計画を立ててみるとか。しかし、40歳を過ぎたサラリーマンは、なかなか難しいでしょう。あとは金融資産で生活するしかなくなる。日本の中高年は今、そういう状況にあるので、お金がなくなると生きていけないという危機感は強いし、持たないといけません」

給料は減らされ、リストラの危機もある。自営業で稼ごうとしてもデフレにさらされ、価格競争を余儀なくされる。日本経済は、「お金」から遠ざかる人が多くなる局面がずっと続いている。

「資産運用の面からいうと、デフレなので、最高の資産運用というのは現金を持っていることです。ずっと現金を持っていた人は、デフレの分だけ、どんどん貨幣価値が上がっているわけです。このところ地価も下がっている。八王子などの東京の郊外で、駅からバス10分以上だったりすると、60平方メートルの2LDKで月に4万~5万円程度の家賃なのです。これはバンコクやクアラルンプールとほぼ同じ感覚です。そういうところに住み、コンビニとファミレスと通信販売があれば、ほとんど生活水準を落とさずに暮らしていけます。このように、デフレを利用して生活コストを下げるというのが、1つの戦略かと思います」(橘氏)

節約をゲームのように楽しむことができれば、同じ給料でも使えるキャッシュは増える。家賃など一番大きな買い物から順に節約するのがコツと橘氏はいう。貧しくても豊かに生きる方法を見つけたいものだ。

比べない、頑張らない、ジタバタしない



たくさんのお金を持つことと幸せになることは別のことだ。では、お金に愛される「幸せなお金持ち」になるにはどうすればいいのだろう。

「自分の好きなことを、まずやることです。お金持ちにはさまざまなタイプがいますが、共通点の1つは、自分が大好きで得意なことをとことんまで究めていることです。それがあまりお金にならなくても、少なくともそれは幸せな人生です。それに、好きなことをやりながらビジネスシステムをつくるということと、多くの人に応援されるということ。この2つさえあれば、たいていそこそこのお金はできるはずなんです」(本田氏)

まず自分はどういう才能を持っているかを知り、自分が好きで得意なことを究める。人はどうしても自分にないものを持っている他人に憧れてしまうものだが、人と比べたり、競争したりしてはいけないと本田氏は注意を促す。

「成功するためには自分の道があるはずです。それは自分の才能、自分の特質、自分の今までのキャリアなどを活かすことです。そうすれば、何の苦労もなく成功することができる。お金持ちは楽しいことしかしていない。頑張らなくてもなれるんです」(本田氏)

佐藤氏もお金でうまくいく人はジタバタしていないという。

「キャッシュポイントが1つしかない人は、それにしがみついて、それをくれる人にごますりをする人生になってしまいます。複数のキャッシュポイントがあれば、余裕を持って自然体でやっていける。セールスマンなら、ごり押ししなくてもよくなり、顧客への信頼につながります」

しかし、好きなことをお金に変えるためには「さわやかな図々しさ」が必要だと佐藤氏は続ける。

「好きなことがせっかく人の役に立っているのに、それをお金に変えられない『いい人』ではいけません。ホームページに『広告、受けつけております』と書けるかどうかが、キャッシュポイントを増やせるかどうかの分かれ目ですね」

1人でもビジネスができるようになった現代は、幸せなお金持ちになりやすい時代だともいえる。

「以前は脱サラした人はほとんどみんな失敗するようなネガティブな状況でしたが、今はそこそこ変わってきて、個人でもマイクロ法人(=少人数の小さな会社)をつくることによって、さらに大きな機会を得られる状況ができてきました。日本の社会で初めてそういうことができるようになったので、おもしろいと思います。それをどう利用して、上手に自分の人生を設計するかですね」(橘氏)

幸せであるためには、ストレスから解放されることも重要だ。

「夫婦仲がよくないとお金は残りません。夫婦間にストレスがあって、それを手っ取り早く解消する方法はお金を使うことだからです。反対に、夫婦仲がいい家庭はお金を使わない傾向がありますね。家でパスタでもつくって、映画でも観ていればそれだけでハッピーなんです。また、起業して成功したけれども、自分も社員も家族もボロボロでは、人生は幸せではないかもしれません。だから、どれがいいか悪いかではなく、自分にはどれがいいのかということを選ぶ必要があるのです」(本田氏)

(飯田安国=撮影)

参照元 : PRESIDENTオンライン







0 件のコメント:

コメントを投稿