2017年7月21日金曜日

肉料理ばかり食べていると、脳梗塞や心筋梗塞に代表される動脈硬化のリスクを上昇させる可能性

心筋梗塞や脳梗塞も 肉好きの「便秘」に潜む重大リスク

2017/7/20



猛暑を乗り切るには精がつく肉料理が一番。ご飯やパンと違って太らないのもうれしい。今夜もお酒片手に赤身のステーキだ――。そんな肉食生活を続けている人は便秘に気をつけた方がいいかもしれない。単にお腹が張って苦しいだけではない。脳梗塞や心筋梗塞に代表される動脈硬化のリスクを上昇させる可能性がある。サラリーマンの病気に詳しい、弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

便秘とは「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」(日本内科学会)を言う。その便秘が「脳梗塞」「心筋梗塞」等の発症リスクを高めることが知られている。

実際、7万2014人の日本人を対象とした研究でも便秘でない人より便秘の人の方が心血管イベントのリスクが高いことが報告されている。閉経後の米国女性7万人の研究でも便秘がひどいほど心血管イベントが高いことがわかっている。

■TMAO濃度が高いほど動脈硬化性疾患リスクが上昇

夏は汗で血液内の水分が抜けるなどして「血栓症」になりやすい。とくに気温が32度を超えると脳梗塞による死亡率が跳ね上がる。それだけに「便秘」には注意が必要だが、なぜ、肉好きの便秘は危ないのか?

「トイレでいきんで血圧が急激に上がるからだけではありません。人の腸管の中には600兆個にも及ぶさまざまな細菌が腸内フローラ(腸内細菌叢)をつくっていて、臓器のようにさまざまな働きをしています。そのひとつに赤身の肉や卵黄などに含まれるホスファチジルコリンなどのトリメチルアミン(TMA)への代謝があります。便秘で腸内細菌叢が変化することでその働きが強まる可能性もあるのです」

TMAはその後、消化管から吸収されて肝臓で酸化されトリメチルアミンNオキシド(TMAO)に変わる。これが貪食細胞のマクロファージを泡沫化するなどして、動脈硬化を起こす。

「ネイチャー・メディスン」(2013年5月号)に掲載された米国クリーブランドクリニックの研究者らの論文では、心機能検査を受けた男女2595人の記録を解析したところ、TMAO濃度が高いほど心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患リスクが上昇していたという。同様の研究が他に複数報告されている。

■食事によるコレステロール摂取量は20%

しかし、動脈硬化の原因は肉やバターなどの動物性の脂肪に多く含まれる脂肪酸が血液中のコレステロールを高めるからではなかったのか。

「以前はそう考えられていましたが、いまは違います。飽和脂肪酸の摂取量を減らすほど脳梗塞や脳出血などの脳卒中が増える。そんな従来の考えとは逆の研究結果も報告され、コレステロールや飽和脂肪酸だけでは、動脈硬化を説明できなくなったのです」

食事によるコレステロール摂取量は全体の20%程度と少ない。それもあって、2年前から米国農務省・保健福祉省から「食事でのコレステロール制限は必要なし」と発表され、日本でも「日本人の食事摂取基準2015年版」からコレステロール摂取の上限制限は撤廃されている。

「人は住んでいる土地の風土や食習慣、生活習慣、体質などによって腸内細菌叢の常在菌の分布が変わってきます。腸内細菌叢は血液型のように型があって、肉食中心の人に多い細菌叢、菜食中心の人に多い細菌叢など3つに大別する研究者もいます。そのタイプによってTMAを代謝する能力が違っていて、同じ肉や卵黄を食べてもそのタイプによって動脈硬化が促進されやすかったり、そうでなかったりするといわれているのです」

つまり、動脈硬化になりやすいかは肉などの食べ物というより、その人が持っている細菌叢の機能の違いということか。

腸内細菌叢は短期では無理だが、長期の食事の変化では変わるのではないかとの見方もある。そう考えれば世界各地で報告されている、食の西洋化で心血管イベントが増えるエリアがあるというのも納得がいく。2度の心臓手術を受け、家族にも心臓病を患ったことのあるクリントン元米国大統領は7年前から完全な菜食主義に切り替えている。これも腸内細菌叢の変化を意識したものかもしれない。

参照元 : 日刊ゲンダイ


小学生の6人に1人は便秘 専門家は「学校の成績より排便が大事」

2017.7. 9



何日も便が出なくて、お腹が張り、痛みを感じることもあるつらい便秘。

実は、大人だけではなく、小学生の間にも広がっていることが、NPO法人日本トイレ研究所による「小学生の排便と生活習慣に関する調査」でわかった。

調査は全国の小学生4777人の保護者らを対象に、2017 年 3 月 28 日から31 日までインターネットのアンケート方式で行い、調査画面の前に子どもが同席して大人が代理回答した。

半数以上が学校でうんちをガマンしている

子どもたちが便秘かどうかは、慢性機能性便秘症の国際基準「ROMEⅢ」が使われた。以下の条件のうち2つ以上あてはまれば「便秘状態にある」、1つなら一歩手前の「便秘予備軍」と定義する。

(1) 排便頻度が3日に1回以下
(2) 便失禁がある
(3) 便を我慢することがある
(4) 排便時に痛みがある
(5) 便が硬い
(6) トイレが詰まるくらい大きな便が出る

今回の調査では小学生の16.6%つまり、6人に1人が便秘状態で、そのうち、約半数が誰にもうんちの悩みを相談したことがなかった。子どもが便秘状態であることを知らない保護者は26.6%もいた。便秘予備軍は20.7%だった。

また、「あなたは普段学校のトイレでうんちをしますか」という問いに対して、小学生の51.3%が「学校でうんちをしない」と回答。多くの子どもたちが、学校でうんちをしたくなってもガマンしていることがわかった。このガマンする傾向は、学年が上がるにつれ強まり、6年生では62.1%にものぼった。

学校でうんちをガマンする理由は「友だちに知られたくない」、「友だちにからかわれる」など人目を気にする回答が上位を占め、これらの問題が改善されたら排便しやすくなる、と答えた小学生も多数いた。

生活習慣の見直しや排便環境の改善が必要

便秘と生活習慣の関係も調べた。その結果、便秘状態にある子どもは、遅寝・遅起きで、毎日朝食を食べている割合も低く、睡眠時間や食生活、運動時間などの面でも、正しい生活習慣を送っている割合が低いことがわかった。

今回の調査でわかった子どもの便秘の問題に対して、さいたま市立病院小児外科部長で排便外来を開設した中野美和子医師は、便秘状態と判断された児童には、自分が便秘症という病気であることの認識が必要だとした。まず生活習慣の改善に取り組み、一か月程度でよくなる傾向がなければ医療機関に相談したほうがいいという。

「医師の目から見ると、子どもの健康状態は学校の成績より大事です。学校のトイレについては、トイレ施設自体の改善も必要だが、排便をタブーとしないような学校、家庭の文化を作っていくことが望まれます」
医師・専門家が監修「Aging Style」

参照元 : エイジングスタイル

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