2017年2月17日金曜日

近い将来、AIやロボットに人間の仕事が奪われる

AI(人工知能)が医師の仕事を奪う? 診断支援システムが実現すれば「総合診療医」になれる!?

2016.10.26



日経デジタルヘルス(2016年10月14日)によれば、オンライン病気事典「MEDLEY」や遠隔診療サービス「CLINICS」を提供する医療系ベンチャー、メドレーの沖山翔氏(執行役員/救急救命医)は、10月11日に東京都内で開かれたイベント「AI(人工知能)の今と未来、エンジニアの将来を考える」で講演し、AIが医療にもたらすインパクトを語った。

沖山氏は、2016年6月にスタートした「症状チェッカーbot」を例に挙げ、AIへの取り組みを解説した。「症状チェッカーbot」は、自分の症状を入力するだけで、症状と関連性の高い疾患や疾患に対応できる病院をFacebook Messengerを使って、対話形式で検索できるサービスだ。

症状を入力するだけで、疾患や病院をスピーディに検索できる「症状チェッカーbot」

検索の流れは、こうだ。

たとえば、「せき 発熱」と入力する→自動対話プログラム(bot)が「ほかにどのような症状がありますか」「どのような発熱の状態ですか」と疾患を絞り込む質問をする→「痰がからむ 熱38度」などと質問に回答する→MEDLEYが登録している1400件以上の疾患から関連性の高い情報をスピード検索する→かぜ、気管支炎、肺炎、インフルエンザなど、該当する疾患を高頻度順に表示するという仕組みだ。

しかも、年齢、性別、季節ごとの疾患の可能性の違いにも対応する。たとえば「30代 男性」と設定すれば、かぜの次に気管支炎が表示されるが、「80代 男性」と設定すると、肺炎が上位になる。冬ならインフルエンザがより上位に表示される。

また、それぞれの疾患に対して受診すべき診療科を表示したり、その診療科のある最寄りの病院を探す機能もある。たとえば、「東京都中央区にある病院のうち、◯◯病に対応できる診療科があり、かつその専門医のいる病院」などのように希望通りの病院を検索できる。

このように「症状チェッカーbot」は、独自のアルゴリズム(問題解決の手順)を駆使したAIを搭載しているため、「Facebook Messenger」を使って対話するだけで、探したい疾患や病院の検索を簡単にスピーディに検索できるのだ。

診断支援システムが実現したら、AIは「総合診療医」になれる!?

しかし、沖山氏によると、「症状チェッカーbot」に搭載したAIは「これが予想される疾患の候補です」「○○科にかかった方がいいですよ」という医療への入り口を限定的にアドバイスするに過ぎないので、確定診断はできない。「症状チェッカーbot」 を確定診断に応用するためには、心音、心拍数、レントゲン、血液検査などの情報も統合化する必要がある。

将来、AIによる診断支援システムが実現すれば、患者も医師も多大な恩恵を受けるだろう。たとえば、医師なら当直などで勤務時間が長くなると、診断精度が必然的に落ちるが、AIが「これを見逃していませんか?」「この疾患の可能性はありませんか?」などと提示すれば、医師の確定診断に役立つはずだ。

ただ、現実はまだ厳しい。IBM Watsonは、過去の膨大な文献や年間20万件もの学術論文のビッグデータを用いて遺伝子情報などを解析するものの、さまざまな臨床データや患者の病態を考慮した「痒いところに手が届く」総合診療医のレベルにはもちろん達していない。

沖山氏の印象では、WatsonなどのAIは、たとえばコシヒカリとササニシキの違いは判別できても、小麦の判別はできない。AIの課題は、医師のような専門性と汎用性を融合できるように進化を遂げることだ。

AIへの信頼が強まれば、医師はどうなる?

AIが医師の仕事を肩代わりする時代が来るのだろうか? 沖山氏はこう述べる。

「人が何を求めているかで決まる。たとえば、スタバのサービスを自動化すれば、コーヒーの値段は下がる。だが、客が求めているのは女性スタッフがカップに“ニコちゃんマーク”を描いてくれる愛嬌だ。AIが人の感情に寄り添ったり、人との触れ合いを自然にできるようにならない限り、医師の存在価値は揺るがないはずだ」

だが、沖山氏は、人間の意識がAIの正確さや精巧さを信頼するように豹変すれば、状況は一変すると指摘する。

「5年前は、無人タクシーは怖くて乗れなかったが、大手メーカーが自動運転市場に一気に参入して以来、世間の常識は覆った。このようなブレークスルーを、AIが医療現場に巻き起こす可能性は十分にある」

医師はどうするべきか。沖山氏は答える。

「機械やAIの進化は、人間の予測に反して、指数関数的に超急速に起きる。そのスピードに惑わされてはいけない。大切なのは、医師が綿々と体得してきた高度なスキル(専門性や汎用性)をベースにしながら、「患者という人間を診る」という人間ならではの知性や感性を積み上げていくことに尽きる」

AIが医師を診療室や病院から追い払う日が来るのか? まだSF映画のハプニングであってほしい。

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

参照元 : healthpress


日本人の仕事の49%が「AI」や「ロボット」に奪われる!アンケートでは28%の人がAIを脅威に

2016.10.26



こんなデータがある――。昨年12月2日、野村総合研究所(NRI)未来創発センターは、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士と共同研究を進め、601種類の職業がAIやロボットに代替される確率を試算した。その結果、10~20年後に日本の労働人口の49%は、AIやロボットに代替される可能性が高いと分析している。

代替される可能性の高い職種は、特別な知識・スキルが求められない機械的な定型的業務、データの分析や秩序的・体系的な操作だけが求められるルーティン業務だ。たとえば、宅配便・郵便・バイク便・新聞配達員、タクシー運転手、警備員、スーパーの店員、レジ係、ホテルの客室係、列車清掃員など。ドローン、自動運転、IoT(Internet of Things)などの技術が進化すればするほど、AIは、これらの業務を肩代わりできるだろう。

一方、代替される可能性の低い職種は、創造性・協調性が必須の専門業務や非定型な知的業務だ。たとえば、医者、科学者、教授、教師、アーティスト、デザイナ−、ジャーナリスト、経営コンサルタントなど。抽象的な概念を整理・創造する知識・スキルが求められる職業、他者との協調性や他者の理解・説得・ネゴシエーション・心理的サービスが要求される職業はサバイバルできるだろう。

これらのデータは、あくまでも確率や推定にすぎない。だが、労働人口や生産年齢人口の減少に対応するためには、AIができる仕事はAIに任せ、ヒトにしかできない仕事はヒトが集中して受け持ち、予測可能な未来に備えることが大切になるだろう。

AIにはできない「おもてなし」のマインド・サービス

しかし、AIでも肩代わりできない、生身の人間ならではのおもてなしゾーンがある。

たとえば、長野県の中央タクシーのように、ドライバーがメーターを倒さずに高齢者の乗客と世間話をしたり、介護士の資格を取り、安全運転に配慮しているケースがある。乗るのを楽しみにしている市民が多いのも頷ける。このような親身でフランクなタクシーなら、自動運転タクシーが出る幕はない。

来客の顔や名前をよく覚え、明るい笑顔や元気な挨拶を絶やさず、世間話をしながら、イキイキとレジを打つスーパーのレジ係も、レジ打ちロボットに仕事を奪われる気づかいはない。

また、東北新幹線の車内清掃業務を請負うJR東日本テクノハートTESSEIの清掃チームなら、「7分間の新幹線劇場」と呼ばれるほど列車清掃を職人域にまで高めているので、掃除ロボットが採用される見込みはない。

リピーター率の高さが評判となっている旅館の加賀屋(石川県和倉温泉)の場合も同じだ。仲居さんが宿泊客の趣味や嗜好、会話の内容などをよく覚えており、期待以上の個客サービスを提供できるので、接客ロボットに出番は回って来ない。

「愛はAIを超える」とは言い得て妙だが、おもてなしの心をAIに期待するのは、とてもできない相談なのだ。

AIが進化した未来に人間に残される仕事は何か?

日経BP(2016年6月10日)によれば、ワンゴ人工知能研究所の山川宏所長は「AIのプラス面は、人間の生活や科学技術の発展、経済の安定化や改良、環境問題の解決をアシストしてくれる点。マイナス面は、AIが自分だけで判断できるように進化すれば、核兵器などの軍事リスク、国際テロなどの犯罪リスクが避けられない」と指摘する。

さらに山川氏は、AIが進化した未来に人間に残される仕事については、組織心理学者エドガー・シャインが提唱したキャリア・アンカー(自分のキャリアを選択する時に最も重視する価値観や欲求)の中から5つのキャリアを紹介している。

①奉仕・社会貢献による承認。
②自律・独立による自尊心。
③純粋な挑戦による人間らしさ。
④全般管理コンピタンスによるコントロール。
⑤専門・職能コンピタンスよる知的さ。

この5つのキャリアだけは、AIでもお手上げなのだ。

ただ、AIはディープ・ラーニングによって、レンブラントが描いた絵画のデータを使って斬新な作品を作るクリエイティブ能力も蓄えることができるようになった。ワンサイクルの仕事をこなせる「プロフェッショナルなAI」から、浅く広い知識・スキルを備える「ゼネラリストAI」へと、ますます進化を遂げているのだ。

医療の進歩、安全な自動運転、恋愛のお相手も、AIに期待?

格安スマホや格安SIMを提供するBIGLOBEのニュースリリース(2016年6月6日)によれば、5月20日~23日の4日間にわたって、15歳~84歳の男女合計1114人を対象に「AIに関するインターネット意識調査」を行った。どんな結果が出ただろう?

まず、AIの認識度だ――。AIの言葉の意味を知っている62%、意味は知らないが言葉は聞いたことがある29%。合計91%の人がAIを認識していた。AIと聞いて思いつくものは、ソフトバンクの人型ロボットPepperが66%、囲碁で人間に勝ったアルファ碁が23%、IBM Watsonが20%、映画『ターミネーター』に登場するスカイネットが18%だった。

次に、AIへの期待度だ――。AIにかなり期待している17%、どちらかと言えば期待している37%の合計54%。過半数の人がAIに期待を寄せていた。

AIに期待することは、医療分野の進歩が急速に進む52%、乗り物の自動運転・自動操縦がかなう40%、コミュニケーションを交せる相手になる32%、ロボットとの生活が実現する27%、パートナー・恋愛対象になる7%だった。医療から便利さ、身近さ、スキンシップまで、AIへの期待感はかなり高いようだ。

回答者の28%がAIに対して脅威を

AIに対する脅威感はどうだろう? どちらかと言えば脅威を感じる20%、かなり脅威を感じる8%。合計28%の人がAIに脅威を感じていた。脅威と感じるのは、システムエラーによる事故や社会混乱58%、知能が人類を超えて制御不能になる46%、自分の仕事を奪われる25%、自我を持てば人類の敵になる24%だった。人間に敵意を持つリスクを感じる人も少なくない。

AIが印象的な映画は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『ターミネーター』が21%で最多。『ターミネーター』を選んだ理由は、進化したAIが人類を不要と判断すれば怖い、人間と区別できない容姿が恐ろしい、ロボットに支配される世界が現実になる可能性は否定できない、自我を持てば人間はコントロールできないなどのコメントが寄せられた。

キアヌ・リーヴス主演の映画『マトリックス』と回答した人も4%あった。AIが人間を支配しようとすれば簡単にできそう、近い将来に現実になりそうなどの意見が見られた。

その他、人間のように愛を求めるAIを描いたスティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I.』は7%の人が支持。AIに感情が芽生えると廃棄しにくくなる、人間とマシンの越えられない壁に苦悩するAIがかわいそうなどの感想が多かった。あなたはどのように感じただろう?

シンギュラリティ(技術的特異点)は訪れるか?

さて、AIと人類。互いの役割とミッションを認識し合えば、共存できるのだろうか? レイ・カーツワイルが自著『ポスト・ヒューマン誕生――コンピュータが人類の知性を超えるとき』で語っているシンギュラリティ(技術的特異点)は訪れるのだろうか?

シンギュラリティは、AIが人間の能力を超えた時に、テクノロジーが急速に変化するため、人間の生活が後戻りできないほどに変容し、人類に甚大な影響がもたらされるとする未来予測だ。人類の技術開発のレベルから推測される未来モデルの限界点と言ってもいい。

シンギュラリティが訪れると、どのような状況に変容するのだろう?

AIが人間よりも賢くなれば、人間の代わりに技術研究や実験を行うだろう。人間の脳を完全にデジタル化できれば、人間の不老不死も夢でなくなるかもしれない。しかし、人間の仕事がAIに奪われるため、夥しい失業者が発生し、社会混乱を招く……。

果たして2045年にシンギュラリティは来るのか?

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

参照元 : healthpress

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