2016年11月24日木曜日

大麻は「所持や売買、栽培」は違法なのに「使用」は罪に問われない、この違いは何?

大麻取締法「所持」は違法なのに「使用」は対象外…何が違うのか?

2016/11/21(月) 10:00配信



沖縄県石垣市の自宅で大麻を所持していたとして、元女優の高樹沙耶容疑者(53)が大麻取締法違反の疑いで逮捕された事件で、高樹容疑者が大麻の使用を認める供述をしていることが報じられている。

朝日新聞の報道によると、高樹容疑者は、吸引したことは認めているが、所持についてはあいまいな供述をしているという。記事の中で、大麻取締法では、大麻の所持は禁じられているが、使用については取り締まりの対象になっていないことが解説されていた。

素朴な疑問として、なぜ使用は禁止されていないのだろうか。使用を対象外としていることに何か意味があるのだろうか。岡本裕明弁護士に聞いた。

●処罰範囲を明確にするため

「大麻は、コカイン等の麻薬や覚せい剤と比較すると、有害性が低いものと考えられています。しかし、大麻は、幻覚や妄想等を引き起こし、継続して使用することで、抑うつ、意欲減退等の精神疾患のような症状に陥ることもあります。最高裁判所(最高裁昭和60年9月10日決定)も、大麻に有害性がないとは認められないと判示していますから、大麻の有害性が低いことを理由に、大麻の使用が禁止されていない訳ではありません」

では、なぜ禁止されていないのか。

「大麻草全体に有害な物質が含まれているという訳ではなく、成熟した茎や種子には、幻覚作用等を生ぜしめるTHCという成分がほとんど含まれていません。また、日本では、昔から大麻は主要な繊維作物として各地で栽培されており、茎の部分は、麻織物や麻縄等に使われ、麻の実は七味唐辛子等の香辛料として親しまれてきました。

大麻取締法は、このような経緯から、大麻の成熟した茎や種子を規制対象から除外しています。大麻の草や花を吸引、飲食することが禁止されていない一つの理由として、規制対象となっていない茎や種子等から微量の大麻の成分が体内に入ったような場合を処罰しないようにするためということが考えられます。

体内に入ったものが大麻のどの部分であるかを立証することは難しいですが、所持であれば規制対象か否かは客観的に明らかです。処罰範囲を明確にするというのが理由です。

以上のとおり、大麻取締法は、決して大麻の使用を積極的に認めている訳ではありませんし、大麻を所持することなく使用することは困難ですから、大麻の使用が合法であると考えるべきではないでしょう」

【取材協力弁護士】
岡本 裕明(おかもと・ひろあき)弁護士
刑事事件及び労働事件を得意分野とし、外国人を被疑者・被告人とする事件を多く取り扱っている。多数の裁判員裁判も経験している一方、犯罪被害者の代理人として、被害者参加等も手掛ける。

事務所名:弁護士法人中村国際刑事法律事務所
事務所URL:事務所HP

参照元 : 弁護士ドットコム










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