2016年2月8日月曜日

麻薬の危険性 至福の衣を着た悪魔

ASKAや清原はなぜ覚せい剤にハマッたのか? シャブ最大の問題点を徹底解説!【ググっても出ない毒薬の手帳】

2016.02.05

【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳 第5回、覚せい剤/前編】



覚せい剤。今も昔も変わらず、芸能人などが使用して逮捕されてニュースになる…というのはもはや恒例行事と化しています。ですが、今回の連載では、人を魅了する化合物の実態に迫るべく、改めてこの薬を取り上げてみましょう。

と、いっても本連載は「毒」がテーマです。どちらかといえば「薬」よりの麻薬である覚せい剤を取り上げると、なんだか趣旨がズレてきてしまう感もありますが…、まぁ時流に乗るということで目をつぶってもらいただければ幸いです。

●覚せい剤がやめられない理由

「幸せとはなんですか?」

以前、このような質問を秋葉原にて、新興宗教の勧誘を行っている人からされたことがあります。

「幸せ? 感情? しょせんは、脳内のモノアミン濃度の総意である」

とドヤ顔で即答して見せたという筆者の実話はさておき、今回のテーマである覚せい剤には、この『幸せとは何か』という哲学的な話は外せません。

●至福の衣を着た悪魔



覚せい剤とは、混合型交感神経作動薬であり、使用すると内因性カテコールアミンの排出を亢進しつつ、MAOを抑制し、末梢神経系のα、βアドレナリン受容体中枢神経系でもアドレナリン受容体へアゴニストとして働くと、報酬系などのモノアミン濃度が上昇するため、多幸感を得る薬物です。

おそらく大半の人がナンノコッチャだと思いますので、わかりやすく説明すれば、

脳が心地よいと感じる刺激や報酬などを、薬物を使用することで得られるようになります。

つまり、覚せい剤を使用すると、ティッシュ1枚を箱から引き抜くだけで、一生ものの努力が報われたかのような多幸感に包まれるのです。

また、体内に入れるだけで、疲労は消え、圧倒的至福が得られます。ある意味、覚せい剤とは“幸せが結晶化した物質”ともいえるでしょう。

幸せになるだけなら、麻薬として禁止されるわけはないのですが、当然、法律で禁止されるくらい危険な側面が存在します。

●なぜ覚せい剤は使ってはいけないのか

労働に対して強い幸福感を感じている人は、高い集中力を発揮し、疲労を感じなくなることもあります。まさにこの効果を持つものが覚せい剤だといえるでしょう。多くの日本人が求めているモノかもしれませんね。

しかし、この謳い文句を読んで、『マジか…やってみたい!!』と思った人は要注意です。みんなが求めている性能だからこそ、危険なのです。

まず、その効果が強すぎるというのが問題です。人間は非常に脆い生き物であり、特に心に対して作用する“モノ”に極めて脆弱です。

そもそも、勉学にせよ、ビジネスにせよ、成功して世間一般から美しいとされる異性と交際したい、金に不自由しなくなりたい! などを目標としつつ、人が努力するのは、「達成感」による幸せを感じたいがためです。

欲しいものを働いて買って手に入れるのも、ビジネスでの成功も<欲が満たされた>ことによる脳内のドーパミン濃度の高まりであり、これはセックスでの快楽もまた然りです。ゆえに人間は自分の脳が用意した「ご褒美刺激」のために、日夜努力しているといっても過言ではありません。

ボランティア活動だって、自分って良いことをしているというご褒美回路を刺激するオナニーとも言えます。

●至福の裏にあるヤバ過ぎる一面



そう考えると非常に虚しく、幸せとは一体なんだろう…と抑鬱的な思考になってしまいそうですが、哲学的なことはさておき、先も書いたように「ティッシュ一枚引っこ抜くだけで生涯をかけた苦労が報われたくらいの快感がある」ことがアウトです。

ようするに、覚せい剤を使用した人は、これなしでは、それ以外の生活すべてが味気なく感じられ、覚せい剤なしでは日常で得られる「幸せの上限」を更新することができないというのが最大の問題です。

つまりは、覚せい剤で得られた偽の幸せの記憶は生涯付きまとい、あらゆる人生の苦楽において「覚せい剤での幸せに比べれば…」と人間の意欲そのもの、存在意義さえも破壊しかねないのです。人によっては偽りの幸せに人生を狂わされ、覚せい剤のためになんでもするようになってしまいます。依存に弱い人間は骨までしゃぶりつくされるために「シャブ」と呼ばれているのです。

それでも身体的に毒がなければ悪くない薬なのですが、長期間にわたり服用すると、ほぼ間違いなく統合失調症を発症しますし、短期間でもあらゆるアドレナリンレセプタを刺激していますので、臓器が本来の使用限界を超えて、システムが瓦解し始めます。要するにPCに置き換えるならば、オーバークロックしすぎて内部が焼け焦げるわけです。

違法なモノとして流通を禁止しないといけない理由は、そこにこそあるのです。

後編では、その覚せい剤の化合物としての仕組みと体内での働きを見ていきましょう。 (文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ

参照元 : TOCANA


【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

2015.12.01

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ】



突然ですが、始まりました本連載。 最近真面目な仕事をしすぎた反動で、「たまには毒々しい話をしたいよ!!」という筆者の勝手な話から決まったのですが、毒々しい話をしようと思ったら、毒の話をすることになっていた…というポルナレフもびっくりな展開でスタートすることになりましたっ。

Anyway! 毒物に関しては生理学を一通りやった上で、アレな実験をだいたいやり、いろんな毒物も実際に味見をし、そして全国で有害図書指定を受けつつも、シリーズを通し15万部を越えた文部省不認可教科書こと、『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)まで上梓した身としては、毒の話…といっても、ググってすぐに出てくるようなことをまとめるようなことはしませんので、多少ご期待してくれてもいいのよ…!

というわけで、さっそくいってみましょう! 第1回目のお題は「青酸カリ」。ミステリーには定番のこの毒ですが、その実体はどんなものなのでしょう? ついでに味なんかについても触れてみようと思います。

■青酸カリの歴史

まずは、青酸カリというのは俗称で、化学の世界では「シアン化カリウム」(KCN)と表記されます。

青酸カリという字面から、ドラマなどでは青っぽい粉で表現されることがありますが、実際は面白みのない白い粉で、舐めるとメタリックな苦扁桃フレーバーが…といっても伝わりにくいでしょう。端的にいえばアルミホイルと甘味のない杏仁豆腐を口にいれたような味、とすれば想像しやすいでしょうか。

この青酸という言葉は、もともと顔料として15世紀あたりから使われていたプルシアンブルー(のちにいくつかの青色顔料に分類される)が由来となります。

ゆえに、印刷のCMYKの青はシアンと呼ばれるわけです。

これは組成式を見ると FeK[Fe(CN)6] や Fe(NH4)[Fe(CN)6] といったモノです。一昔前は腐らせた牛の血を錆びた鉄鍋で灰と一緒に混ぜ、ときおり鍋を叩きながら煮詰めるという方法で作られていました。生成に必要な鉄分は錆びた鉄鍋を叩くことで、酸化鉄が中に入り込み反応していったという、こんな方法どうやって思いついたのかは時代のみが知るといったところでしょうか。そして、水酸化ナトリウムなどの強塩基とプルシアンブルーを混合すると、水酸化鉄(III)とシアン化合物イオンが得られ、そこから蒸留などを経て、シアン酸こと青酸が作られるのです。

ちなみにプルシアンブルーは、セシウムイオンを吸着する不思議な性質を持っており、福島第一原子力発電所が爆発して、放射性セシウムが日本中にばらまかれた時に話題になりました。

話は戻って、この化合物プルシアンブルーのCNという部分こそ、青酸カリのCN部分なわけです。青酸の状態では反応性が高すぎて不安定なため、カリウム塩やナトリウム塩にしたものが、青酸カリウム(シアン化カリウム)、青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)となります。

■青酸カリは身近な毒だった?



話は近代になり、シアン化合物は多くの化学工業の分野で活躍していくのですが、戦後は町中にメッキ工場などがあちこちにあり、今とは考え物にならないくらい薬品がズボラに管理されていました。そのため、くすねて持ち帰ることが可能だったので、「身近な毒」となったのです。故にミステリーにも採用されていたわけですネ。

それが時代を経て、青酸カリの毒性だけが一人歩きして、ミステリー小説や漫画の中で、入手方法は不明だけど悪い奴が使う毒というよくわからない状況になってしまったといえます。もちろん現在、メッキ工場はなかなか町中にありませんし、あっても薬品の管理は厳重で、簡単に忍び込んで盗む…なんてことは非現実的です。

そしてなにより青酸カリは毒殺に向いていないという最大の問題が立ちはだかります。

参照元 : TOCANA


【ググっても出ない毒薬の手帳】青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違い!

2015.12.02

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】



■実は毒殺に向いてない青酸カリ



青酸カリは実は毒殺に向いていない。

そんな馬鹿な、アガサ・クリスティのミステリー小説はもちろん、多くの推理サスペンスでも大活躍し、その上、実際にルイ14世の時代には青酸を使ったであろう毒殺事例が多数確認できます。それだけのバックボーンがありながら毒殺に向いていないとはどういうことなのでしょうか?

まず、青酸ガスは非常に致死性の高い猛毒ですが、反応性の高いガスでもあるので、しばらくすると空気中のアンモニアやその他有機物なんかと反応して毒性を失ってしまいます。

アガサ・クリスティのミステリーの中では、ラジオの中に封印された青酸ガスが、音楽のハイライトで共振して割れ、青酸ガスが部屋に充満して死ぬというトリックが出てきます。

まず人を殺すくらいの分量は小さなアンプルに1気圧で封印できる程度の少量では無理で、青酸ガスの致死濃度である300ppm(部屋の空気に0.03%混合しなくてはいけない)に達するためには、仮に6畳くらいの部屋を想定しても十数グラムの液化ガスを封入しなくてはいけないことになり、ラジオの中に搭載するのは、相当な技術というか金がかかります(笑)。

しかもとんでもない圧力がかかったアンプルがラジオの音楽の共鳴で割れ、それ以外では割れないようにしなければいけないんで、これは現代のテクノロジーをもってしても厳しいと言わざるを得ず、まさにフィクションと言わざるを得ないわけです。

いや、だからこそフィクションなんですが(笑)

■じゃあ飲ませる方向で

いやいや、もっと古典的な青酸カリを毒として食べ物や飲み物に混ぜればいいじゃん……という声が聞こえてきますが、これもまた難儀です。

前回お伝えしたように、青酸化合物は独特のフレーバーがあり、無味無臭なんてのはウソ、お世辞にも美味しいとはいえません。杏仁豆腐のような風味とメタリックな味は誤魔化しきれるには結構きついものがあります。

またシアン化化合物は非常に分解しやすく、空気中の二酸化炭素を吸収して反応、無毒な炭酸カリウムへとどんどん変わっていきます。故に、実験用試薬でも結構な生もの扱いで、開封後は早めに使うことが推奨されています。

毒殺犯が、紙に包んだ青酸カリを隠し持ってサラサラと入れているシーンなんかが、ミステリーに登場しますが、紙包みなんてして毒殺のチャンスを伺いずっと携帯してたら、気が付けば無害なんてこともあり得るわけです。

加えて致死量も問題です。

猛毒かと思われていますが、その致死量(LD50)はおよそ5mg/kgとされています。なんだたった5mgで死ぬじゃん……! とか早合点してはいけません。

5mg/kgつまり体重が60Kgの成人男性なら5mg×60kgで300mgとなります。300mgといえば指先にこんもりあるくらいの分量です。

しかもこの数字は、LD50(半数致死量)というもので、10人中5人は死ぬかも……という数値であり、つまり死亡率は50%。では確殺には倍量でいいのかというとさにあらず、しかもこのLD50の値はラットでの数値であり、人間に対して確実ともいえないわけです。

そうなってくると、

さらに10倍は盛らないと確殺とはいきません。

その分量なんと3g(笑)

1円玉3枚分です。小さじ一杯満載あります。しかも一切の分解されていない新鮮な状態であるという但し書き付きです。

そんな分量をいれれば飲み物でも一口で怪しい味になりますし、それだけのものを飲ませることができるなら、そもそも別の猛毒がぜんぜん選択肢として出てくるわけです。

■未解決帝銀事件と青酸



さて、そんなダメだしばかりの青酸カリですが、もう少し別のシアンを持つ化合物だと、いっきに殺しに特化することができます。

その最たる例が、帝銀事件で使われた毒。

昭和23年に東京都豊島区の帝国銀行に、赤痢感染者が来店したので、予防薬を飲んでくれと、役所から来たと言う男の指示のもと、署員が薬を服用。薬として配られたのは非常に飲みにくい1液と、少し苦い2液。このふたつの液体が合わさると初めて毒性を持つという青酸バイナリーなわけです。

数分後、飲んだ職員はすべて死亡し、犯人は悠々自適に金をもって逃げた……という、戦後の未解決事件の1つです。

ここで使われたと言われているのが、シアノヒドリンの1つであるアセトンシアノヒドリンという物質。2液にはおそらく重曹のような弱塩基が含まれていたのではないかといわれています。

粉末の青酸カリに比べて液体で保存性が高く、胃の中で即毒性を発揮する(胃酸と反応して青酸ガスが出る)青酸カリより安定性が高く、複数人に飲ませても、2液目を飲ませて初めて胃の中で青酸を発生させて殺すことができるというトリックが仕組めるというものです。

この方法を用いれば、複数人に飲ませても最後の人にのませ終わるまでに最初に飲ませた人が倒れ出して怪しまれることが避けられる……というものです。

ただこの物質も凄まじいマズさで、薬と偽って飲まされたからこそ、服用に至ったわけで、現代ではまったく通じないといえます。

なにより青酸系毒物の所見は極めて分かりやすい状況証拠を残し、そこから毒物の鑑定が行われ、犯人の絞り込みがなされると、法医学と捜査科学が発達した現代では、やはり無理難題の産物であるといえます。

まぁ、毒を使った犯罪というのは、非常に足の付きやすい犯罪であるといえます。

参照元 : TOCANA


▼依存性などの比較表








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